地域で大切につなぐ盆送り行事『小川の百八灯』

秩父市上吉田小川地区で、毎年8月16日、お盆の明けに行われる伝統行事『百八灯』と『精霊送り』
迎え入れたご先祖様にお帰りいただき、あわせて現世を生きる者の無病息災を祈る盆送りの行事だ。

例年になくお盆の期間に雨続きとなった今年、16日も朝から雨が降り続いていたが、夕刻までには小川地区内を通る県道の両脇には “ウシ”と呼ばれるかがり火の燭台が並べられた。
ウシは、大・中・小と大きさが分かれ、置かれる位置が決められている。ウシの数は400とも言われる。

雨もおさまった19:00頃、公会堂を起点にウシに点火を行う。最初に点火するのは公会堂から程近くに置かれた大ウシ。
代表2名が手にしたたいまつで大ウシへ点火を行うと、その後一斉に地区の方々が他のウシへと点火をする。

すべて点火されるとこの通りはとても幻想的だ。

約200m程あるだろうか、ウシが並んだその通りを火が灯されている間に三往復し、その煙を浴びると疫病にかからないと古くから言われている。

ウシの火が灯る時間はそう長くはないため、足早に通りを往復する人びと・・・
地元住民の他、ちょうど帰省中の家族連れ、夏休みを利用しこの光景を一目見ようと訪れた観光客などが、ゆらゆらと揺れる400の灯の中を思い思いに歩いていた。

同時に精霊神輿が地区の上(かみ)から下(しも)までを練り歩き、小川地区の境界の河原まで運び、神輿は河岸へ置かれることで、精霊を送り出し、今年のお盆も終わりを告げた。

 

少子化と言われている秩父地域だが、この地域は未来を担う子どもたちが少しずつではあるが増えているという珍しい地区だ。

この日も地元の子どもが集まり、太鼓を叩き、また通りを元気よく走る姿を目にすることができた。

古よりこの地区で大切に引き継がれている伝統行事。あわせてそれは、家族の大切さや地域でつながり助けあう心を幼い頃から感じ、自然と育んでいく環境でもあると感じる。今後も変わらぬ風習として後世へと繋いでいくことを願う。

 

▲諸説あるが、今はこの地区で一番進めやすい方法で、引き継がれている。

 

記事:編集部

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