災害や防災に関する定点調査

災害全般に対する不安感が高まる一方、防災意識には変化なし

株式会社マクロミルが運営する市場調査メディア「HoNote(ホノテ)」では、東日本大震災が発生した3月11日と、防災の日である9月1日のそれぞれ1カ月前に、災害や防災に関する定点調査を実施している。甚大な被害をもたらす自然災害がしばしば発生している日本の生活者は、災害に対してどの程度意識し、備えをしているのか、今回は全国の20~69歳の男女1,000名に対して調査を行った。

明後日の3月11日を前に、調査結果を紹介したい。

 

■調査結果

【1】恐れている災害の1位は「地震」、95%で断トツ。災害全般に対する不安感が高まる一方、防災意識には変化なし

●恐れている災害 上位7位
ベース:全体(n=1,000)/複数回答(5つまで選択)

<2018年2月実施>
1位 地震/95.0%
2位 豪雨・洪水/53.7%
3位 大規模な火事、爆発/50.4%
4位 暴風、竜巻/46.6%
5位 津波/32.8%
6位 中長期の天候による災害※2/25.8%
7位 噴火/21.1%

<2017年7月実施>
1位 地震/90.6%
2位 豪雨・洪水/54.0%
3位 暴風、竜巻/44.1%
4位 大規模な火事、爆発/40.2%
5位 中長期の天候による災害※2/22.2%
6位 津波/17.7%
7位 土砂災害/15.4%

※1. 2017年7月調査より聴取開始
※2. 干ばつ、熱波、寒波、冷夏など

2011年3月11日に発生した東日本大震災から7年が経とうとしている今、生活者の災害に対する意識について確認した。生活者は今、どのような災害を恐れているのだろうか。
1位は「地震」で、95%の人が恐れていると回答した。他の災害と比べると、断トツであることが分かる。続いて2位は「豪雨、洪水」で54%、3位は「大規模な火事、爆発」で50%であった。

また、2017年7月に実施した同調査結果と比較し、意識の変化を確認したところ、今回5位の「津波」は、前回よりも15ポイント、今回3位の「大規模な火事、爆発」と7位の「噴火」が前回よりもそれぞれ14ポイント高くなっている。その他全ての災害において、恐れていると回答した人の割合が上がっており、災害に対する不安感が軒並み高まっている様子がうかがえる。

 

一方、防災意識に着目すると、「意識している(とても意識している+やや意識している)」と回答した人は6割で、2017年7月から大きな変化は見られなかった。

 

【2】「日用品・水・食料品などの備蓄」は約半数が実施。この1年で、さらに強化した人が2割

●大災害に対して備えていること 上位5位
ベース:全体(n=1,000)/複数回答

1位  日用品・水・食料品などの備蓄/45.9%
2位  避難場所や避難所の確認/43.3%
3位  保険加入/40.5%
4位  家具や家電等の転倒・落下防止/29.1%
5位  非常用持ち出し袋の用意/25.7%

●大災害に対してこの1年に備えを強化したこと 上位5位
ベース:全体(n=1,000)/複数回答

1位  日用品・水・食料品などの備蓄/21.3%
2位  避難場所や避難所の確認/7.6%
2位  モバイルバッテリーを携帯/7.6%
2位  保険加入/7.6%
5位  防災グッズの購入/7.0%

大災害に対する具体的な備えについて尋ねたところ、「日用品・水・食料品などの備蓄」はすでに実施している人が46%で、最も多くなった。またこの1年に強化したという人も21%いた。“備蓄をしており、補充や強化などを定期的にしている“という人が多いのかもしれない。

 

【3】自身の生活圏における“避難場所”や”避難所”、3割超が「把握していない」。また、“避難場所“と”避難所”の役割の違い理解している人は4割弱

自宅や職場、学校など、自身の生活圏における広域避難場所や避難所を把握しているか尋ねたところ、「把握している(ほぼ把握している+およそ把握している)」は64%であった。つまり、“36%の人は避難する場所を把握していない”と回答しているということだ。

 

また、災害発生時に避難する場所としては、大きく「避難場所」と「避難所」があるが、“避難場所“は災害発生時、身を守るために避難する場所で、”避難所”は自宅生活が困難な場合、一定期間の避難生活をする場所だ。もし大震災による家屋の倒壊や大火事、津波などが発生して身を守るためには、「避難場所」に逃げなければならない。
その役割の違いをどのくらいの人が知っているのか確認したところ、「避難場所」と「避難所」の役割の違いを知っている人は37%にとどまった。東日本大震災以降、“避難場所“や”避難所”等の看板を街中で多く見かけるようになり、自身の生活圏における“避難場所“や”避難所”の場所は確認しやすくはなったが、災害が発生した際にどちらに避難すれば良いのかは、あまり理解されていないようだ。いざという時、逃げ場所を正しく判断できるよう、今後理解を深める施策が必要となりそうである。

 

【4】“防災イベント”への参加経験率は24%。今後、「積極的に参加したい」12%、「興味はある」52%

災害に備えて、防災訓練や防災セミナー、防災展などの“防災イベント”が、国や地方自治体によってしばしば開催されているが、そういった“防災イベント”に参加したことがあるかを尋ねたところ、参加経験率は24%であった。
また、今後の参加意向や興味について尋ねると「積極的に参加したい」12%、「興味はある」52%、「興味がない」37%となった。参加したことが無い人が多いが、いざという時のために“興味はある”という人も多くいるようだ。

 

【5】居住する市区町村に対し、大災害への備えに「安心だ」3割、大災害発生時に「頼りになる」4割

居住している市区町村が行っている“大災害に対する備え”に対する安心感を確認したところ、「安心(とても安心だ+やや安心だ)」が32%、「不安(やや不安だ+とても不安だ)」が68%という結果となり、不安を感じている人の方が多いことが分かった。

 

また、大災害の発生時、居住している市区町村は頼りになると思うか尋ねると、「頼りになる(とても頼りになると思う+まあ頼りになると思う)」が40%、「頼りにならない(あまり頼りにならないと思う+まったく頼りにならないと思う)」が60%で、頼りにならないと感じているも多いようだ。

 

■「災害や防災に関する定点調査 2018年2月実施」 調査概要

調査主体 マクロミル
調査方法 インターネットリサーチ
調査対象 全国20~69歳の男女(マクロミルモニタ会員)
割付方法 平成27年国勢調査による、性別×年代の人口動態割付/合計1,000サンプル
調査期間 2018年2月5日(月)

※本文の数値は四捨五入した整数で表記しています。
※百分率表示は四捨五入の丸め計算をおこなっており、合計が100%とならない場合があります。

今回の調査で聴取したすべての災害に対して「恐れている」と回答した人の割合が、半年前よりも増えている。災害に対する不安感が増していると考えられる一方で、防災意識や準備が同じように高まっているとは言えない状況がうかがえる。
また、自治体の災害への備えや対応について、「不安」「頼りにならない」と感じる人が多い一方で、国や自治体の主催する防災イベントに対する参加経験率はあまり高くないことも分かった。災害に対する不安感を持つだけではなく、まずは国や市区町村、自治体等が行う様々な防災に関する取り組みについて、情報を収集してみるという選択肢もある、と同社は語る。
そして今一度、避難場所・避難所の確認や、災害時の家族との連絡方法の確認、防災グッズの準備や見直しなどを行ってみる等、防災に対する意識を普段から高めることも大切だと言えそうである。

記事:編集部

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