〜長い冬を抜け、多くの崇敬者が参集〜
秩父では、4月になると『城峯山の山開き 5月3日』というポスターが掲示されているのを見かけるようになる。毎年5月3日は、城峯神社の春の例大祭が執り行われ、それに合わせ、城峯山は山開きを迎える。本日2017年5月3日も、無事に例大祭を、そして山開きを迎えていた。
城峯神社は、秩父市・皆野町・神川町の境界にある城峯山(標高1,037メートル:一等三角点)山頂近くにあり、その境内からは秩父連山が見渡すことができ、山の連なりの美しさを目の当たりにする。そんな絶景を見渡せるところに『城峯神社』はあり、朝から地元の氏子の方々や遠くからの崇敬者などで賑わいを見せていた。
駐車場からは徒歩となるが、山門と呼ばれる鳥居から社殿に向かう参道は高い杉の並木道になっており、その両脇には、千本旗が並ぶ。千本旗には、氏子の健康長寿・家内安全・交通安全などの願いが込められているようだ。
11時からは社殿にて祭典が開始され、氏子および崇敬者の方々が参列し、厳かな中祭礼が執り行われた。
祭典の前後には、境内の神楽殿にて『漆木(うるしぎ)神楽』が奉納され、神々様は勿論のこと、参拝者を楽しませていた。神楽を間近で見た登山客は「日頃、見られないものを見せてもらった、良い時に来れて嬉しい」と話し、写真や動画の撮影をする姿を多く見かけた。
城峯神社も秩父地域のいくつかの神社と同様にお犬様(狼:オオカミ)信仰により、御眷属様はオオカミのお姿をしている。昔から火災や盗難、疫病の守り神として地域を守ってこられたとされており、社殿前に鎮座するのも、オオカミの御眷属様となっている。
また、御眷属様の像で興味深いものが“もう一種”あるので、説明しよう。
養蚕業の名残とも、農家を護ってくれていたとも言われているが、こちらの神社境内には狛犬ならぬ「狛猫」様が、社殿向かって左手に鎮座する。悪さをするネズミを退治してくれる、そんな思いからの事なのかもしれない。とても古くから鎮座されているので、今となっては事の詳細はわからないが、いつの世も「共生」によって、人々の生活は護られ、その感謝の気持ちを忘れない、そんな日本の良き民俗文化を感じずにはいられない。
山の上にあることから、冬季は容易に近づくことができない尊い場所でもあることから、この春の例大祭は盛大に開催され、地元の方々の顔もほころび、山に活気が溢れていた。
山開きということもあり、登山道で境内まで徒歩で上がって来た方も見受けられたが、もちろん神社駐車場まで車で上って来る事ができるので、参拝可能な期間中に一度は訪れてみてほしい。
古社であり荘厳な佇まいの神社。一度、その杜(もり)に身を置いていただければ、深くご理解いただけるだろう。
記事:編集部
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