ITコンサルティング・情報システム開発を運営する株式会社情報戦略テクノロジー(本社:東京都渋谷区、代表取締役:高井 淳 以下、情報戦略テクノロジー)は、2018年4月1日以降の新卒採用枠により入社した社員を対象とし、毎月の奨学金返済額と同額を月額3万円、返済開始から5年間を上限に給与に上乗せして支給すると発表した。
本制度導入は、現在、大学生の51.3%、博士課程の62.7%が奨学金を受給していることが背景にある。
(独立行政法人日本学生支援機構「平成26年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」より引用とのこと)
また、昭和50年度から平成24年度にかけて学費は劇的に上昇(国立大学の入学費309%、授業料823%)した一方で初任給や平均年収は微増(大卒の初任給124%、平均年収112%)に留まっていることも導入検討の要因となった。
(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を平成27年度の消費者物価指数にあわせて換算とのこと)
現在、奨学金受給者の9%以上が返済滞納者になるなど奨学金制度が社会問題とり、この対策として給付型奨学金制度や所得額に応じた返済額を決める奨学金制度が国会などで議論に上がり法改正なども進んではいるが、現状は問題が解消されていない。
また、延滞が継続した場合、クレジットカード利用の制限や住宅ローンが組めなくなるなど将来リスクが存在し、さらには返済しきれずに自己破産に至るなどの問題が既に発生しているという。
情報戦略テクノロジーの若手社員も半数以上が奨学金を利用しており、現在選考を進んでいる学生の多くも奨学金を借りているという。彼らの将来のリスクを取り除き、不安が無い状態で職務に集中してもらえれば5年後にはキャリアアップして返済が負担にならないと考えているとのことで、この制度導入を決定したという。
日本全体で少子高齢化が進み、若手の労働人口が減少、人財の育成だけに留まらず確保自体が難しいという社会的な課題が露呈している今、奨学金制度を活用し進学、学び、技術の基盤を携えた受給者の9%以上が返済滞納者になるなど、様々な課題が山積する社会となっていることは否めない。
このような「若く未来があるにも関わらず、未来への不安を抱えて仕事をせざるを得ない」社員の経済的、精神的負担を軽減する制度を検討し、会社の財産である社員が思いっきり実力を発揮できて、同じ会社で働き続けてくれる、そんな社員の生活は勿論のこと、会社自体も経済的発展ができる環境づくりに着手する企業は、これからも増えてくるのかもしれない。
人は会社を形成する材料ではなく財産、これからの時代の企業づくりにも注目していきたい。
記事:編集部
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