老舗酒造の『製造IoT』を開発:酒蔵での温度変化をスマホからチェック&データ化

〜酒質の向上と蔵人の働き方刷新へ〜

株式会社モンスター・ラボ (本社:東京都目黒区、代表取締役社長:いな川 宏樹、以下 ML)と、Yahoo! JAPANグループである株式会社IDCフロンティア (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:志立 正嗣、以下 IDCF)は、共同で島根県の老舗酒蔵、旭日酒造 (本社:島根県出雲市、蔵主:佐藤 誠一、明治2年創業)の酒造工程におけるセンサーデータと業務記録をスマートフォン内で共有、監視するためのアプリシステム開発に着手する。

<酒蔵内にIoTセンサーを設置して酒質を管理>

本IoTシステムによって期待されている効果

製造現場の温度・湿度といった環境変化をスマートフォンからチェックできることで、蔵人(くらびと)間でいつでも情報共有ができ、情報を遠隔地から知ることができるようになることで、仕込み期間である12月~3月に蔵人が酒蔵を片時も離れられないというような物理的制約の解決をし、働き方の刷新につながると考えている。
また、長期的にはセンサーデータと業務記録を蓄積していくことで検証を可能にし、酒質の向上と蔵人の育成に活かすことができると考えられている。

開発背景

本開発は、旭日酒造(酒蔵)、IDCF(クラウドサービス・プラットフォームの提供)、ML(アプリケーション開発)の3社協働によって成り立っている。

■旭日酒造(酒蔵)
酒どころで知られる島根県の旭日酒造は、代表銘柄の「十旭日(じゅうじあさひ)」と出雲大社の御神酒(おみき)の銘柄「八千矛(やちほこ)」を醸す蔵だ。
日常づかいのお酒だけでなく生モト(きもと)※仕込みや長期熟成など日本酒の多様な可能性にチャレンジする蔵である。
蔵人(くらびと)が現在6名在籍しているが、工程ごとに異なる担当を持ち多忙なため、担当前後の中間生成物の変化などをなかなか把握できないという課題があった。
また、旭日酒造の蔵人の年齢構成は、現状ではバランスが取れているものの(最若24歳、最高57歳)、今後高齢化が進むとも考えられ、データを適切に記録して共有する仕組みに取り組むことによって後進を育成できる環境を構築しようと考えた経緯がある。
※特殊文字であるためカタカナ表記。「モト」の正式表記は酉偏に「元」。

■IDCF(クラウドサービス・プラットフォームの提供)
IDCFは自社の持つクラウドサービスとIoTを使ったセンサーデータをクラウド上に安全に保存・処理するサービスを独自開発している。
本プラットフォームを利用することにより、IoTに関する専門知識のないアプリケーションエンジニアでもIoTシステムの開発を行うことが可能になる。

■ML(アプリケーション開発)
MLは国内3か所、海外10か所に拠点を構えているが、その中の一つに島根県の松江に拠点がある。
Iターンによって4名のエンジニアが勤務しており、松江城やお寺でプログラミングをするなど島根県ならではの働き方を楽しく実践する時もあるという。
今回はそんな松江拠点のエンジニアのうちの一人が、個人の趣味で酒造イベントに参加して旭日酒造の副杜氏と出会ったことから、このプロジェクトが始まった。
今回MLはIDCFのプラットフォームを利用することによりIoTシステムの開発期間を2か月に短縮することができるようになる計画だ。

島根県庁のコメント
島根県の酒造産業は、全国でもその技術力、品質を高く評価されています。
一方で、仕込みをはじめとした現場工程の情報の共有化や、蔵人の高齢化に伴う後継者育成など課題も多くあります。
今回、株式会社モンスター・ラボと株式会社IDCフロンティアが、酒造産業のIoT活用に取り組まれることで、県内の代表的な伝統産業における品質向上や技術伝承への貢献を期待します。
また、同社のサービスが、より多くの酒造メーカーや他産業でも利用されることで、「島根発」の代表的なIoTサービスに成長するよう、また、地域産業の更なる発展へ繋がるよう、島根県も支援して参ります。

「IoT」、いわゆる、モノのインターネット(英語: Internet of Things, IoT)。様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御し、様々な経営・生活・環境の課題を解決していく仕組みだが、この取り組みは全国で活発な動きを見せる。

全てを機械化する、あらゆるものを電子化する、そういう発展ではなく、人でなければできないこと、機械やコンピューターの方が向いていること、そんな関係性を上手に活用していくことが、本来のIoT導入のメリットだと考える。

今後増えていくIoT導入事例は、それぞれの環境に合った導入を検討するよいきっかけとなるだろう。

記事:編集部

 

 

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